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鹿追高校校長の熱い思いを聞いた!

鹿追高校の校長は俵谷俊彦(たわらやとしひこ)先生です。英語科です。
前任は島の高校、奥尻高校校長でした。
鹿追高校の探究授業を推進しています。
校長先生に話を聞きました。

ー 校長になってどこのくらいになりますか?

平成31年の4月からですので今年で5年目です。

ー 一般的な異動のサイクルからするとちょっと長いですね。

はい、通常であれば2〜3年で変わるのですが、任期途中でここの「公募校長」に応募して採用されました。

ー それはまた珍しいですね。なぜそうされたのですか。

鹿追高校を持続可能な学校にする、ということにもう少し時間をかけて取り組みたいと思ったからですね。

ー 持続可能というのは?

簡単に言えば、閉校にしないということなのですが、少子高齢化に左右されず、圧倒的な魅力を持った望まれる学校にしたいということです。新時代に生きていく生徒のための高校のロールモデルを鹿追で作りたい。北海道の片隅にある町ではありますが、鹿追高校なら、新時代を生き抜く人材を育成できるという確信を持ちました。

ー 探究授業に力を入れていますね。

そうです。社会は持続可能であることが大事だと思います。時代によって社会にはいろいろな課題が出てきます。受動的にのみ捉えて誰かに任せるのではなく、当事者意識を持ちながら、人を巻き込みながら、主体的に解決していく。それぞれの場所で解決のベクトルを作っていくような人材を育てたいです。そんな人材を育成するのが探究授業です。

ー 入試も変わってきているのでしょうか

難関大学と言われるところを含め、ほぼすべての大学で学力だけで測らない総合選抜型という入試を取り入れています。探究的能力を持った人間を求めるように確実に変わってきています。学力を上げ一般受験に通用する力はもちろん、探究的能力を育成し、総合型選抜にも十分通用する力を身につけます。

ー 探究教育は鹿追高校のような小規模の高校ならではなのでしょうか

いえ、そんなことはないと思います。どんな高校でもできるはずです。規模の問題ではないでしょう。ただし、探究教育を理解するマインドセットを持った教員がいるか、協力してくれる地域の人たちがどのくらいいるか、そのプログラムを持っているか、が重要だと思います。
本校では、「持続可能な鹿高づくり運営委員会」という課題を見つめトライできるタスクフォースを立ち上げました。その委員会で、先生たちがすばらしい探究プログラムを作り、鹿高生の活躍を引き出しています。本当に誇らしいです。

ー 地域の方にも協力してもらっているのですね

地域だけではありありません。地域外の方も多くいらっしゃいます。「プロボノメンター※」と称して、いろいろな分野の専門知識を持った方に、本校のプログラムに携わっていただいています。フィールドワークでのガイドをお願いしたり、講師に来てもらったり、生徒と対話してもらったりしています。
生徒は、実際に活躍され活動している方と出会って、直接、支援や助言をもらいます。本校生の考えた解決ビジョンを実現してもらう手助けをいただいています。正に本校教育のプレーヤーとして、いろいろな分野でサポートをしてもらっています。
(※プロボノとは「公共の善ために」というラテン語から。自身の専門的なスキルを活かして社会のために貢献する活動のこと)

ー 地域みらい留学に手を上げたきっかけはなんだったのでしょう

前任の奥尻高校の校長のときに最初に名乗りを上げました。北海道のこれからの高校教育を考えたときに、全国募集は絶対に欠かせないと思いました。この激動の時代、北海道の中だけで甘んじている訳にはいかない、北海道に範囲を限定してしまうのはもったいないのです。北海道の高校の魅力を知ったなら、全国からでも、世界からでも、ここで学びたいという人が出てくると確信しています。

ー 「鹿追創生アカデミア」というビジョンを掲げていますね。

鹿追町の最高学府は鹿追高校です。日本に学校制度ができてから、地域の学校というのは、地域の文化に寄与したり、産業に貢献したり、地域の発展に貢献してところなのです。過去数十年にわたり、高校というのは、卒業後の進路先にまっすぐ行くためのトンネルでしかないといった課題も指摘されています。高校が最高学府として、鹿追の創生の核なる学舎であるべきであり、本来ある学校の理念に戻るべきだという思いから、この名前を標榜しています。

ー 探究の授業に取り組んでから、生徒さんたちは変わりましたか

大きく変わったと思います。自分の頭で考え、自分で行動する生徒が増えてきました。社会人とも臆することなく接することができているのも特徴です。先生たちに頼らずに、自分たちでプロジェクトを組織して、自分たちで動く、というのが本校の文化になってきました。高校生たちが自分たちで企画書を書き、実現していきます。
先生たちはファシリテーターとして生徒を導く役割をきちんと果たしています。生徒の社会への参画の本気度が非常に高いと思います。
「鹿追創生プロジェクト」という名のもとに、生徒たちが自分で企画を考えます。「雪みちクッキー」という牛乳のホエイを使ったクッキーは生徒たちが作り上げた鹿追の商品です。プロジェクトの調理製菓班が、先生たちに頼らず、関係業者に交渉しながら開発しました。

姉妹都市交流を推進してきたストーニープレイン町の元町長のドナさんと本校で

ー カナダ留学も特徴ですね。

はい、1学年全員での短期間のカナダ留学です。町の姉妹都市であるカナダ、アルバータ州のストーニープレインというところに行きます。事前の準備として授業で「カナダ学」というものがあり、事後は町のみなさんに報告会も開きます。これも生徒たちが大きく成長するきっかけです。

ー みらい留学を考えている人に伝えたいメッセージは

事実を伝えます。コンビニは二つしかない、大きな町までは1時間くらいかかります。そんなに便利じゃありません。でも、教育プログラムには自信があります。昭和的な情報の押し付けではありません。自らの頭で考えて解決していく、計画だけじゃなくアクションまでおこしていく、そんな活動が実際にできるところです。今まで閉じこめていた自分を解放してみないか、新しい自分に出会ってみないか、というメッセージをお伝えしたいと思います。

"Go Beyond It!"   鹿追高校校長 俵谷俊彦

聞き手 鹿高みらい留学コーディネーター 吉村卓也

鹿追高校の連絡、お問い合わせ先
tel. 0156-66-3011