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オンライン公設塾はこうして生まれた その1

こんにちは。鹿追高校コーディネーターの吉村です。
今年の北海道は本当に暑い!暑さに弱い私はそうとうバテております。
アタマが働きません……
さて、今日は「鹿追高校オンライン公設塾」をご紹介しましょう。

公設塾って何なの?

鹿追高校、鹿追町のユニークな教育へのICT活用の事例のひとつが「オンライン公設塾」です。
「公設塾」というのは、民間の学習塾がほとんど進出しない地方で、生徒の学習を支援するために自治体が設置する塾です。学習塾がたくさんある都会ではほとんど耳にしない名前かと思います。
土地柄、北海道の地方には「公設塾」があるところが多いです。教室があり、先生がいてという、いわゆる「学習塾」のスタイルが一般的です。

oViceを使った鹿追高校オンライン公設塾の画面はこんな感じ

それをオンラインで実現しているのが鹿追町の「オンライン公設塾」のユニークなところで、全国的にも例を見ないものです。
簡単に「オンライン公設塾」の仕組みを説明しておきます。

塾はoviceという民間会社の提供するサービスを使っていて、これはオンライン上に会社のオフィスみたいな空間をバーチャルで構築するプラットフォームです。出席者はアバター(仮想空間での自分の分身のようなもの)となって参加します。

コロナ禍で一気に普及したオンライン会議システムの一種ですが、その雄であるzoomと大きく違うのは、zoomがあくまでテレビ電話を中心とした対話のシステムであるのに対し、oviceは「空間」の概念を提供しているところでしょう。
ログインすると、利用者は「部屋」や「教室」に入ったような感じになります。そこに誰がいるかも分かります。そこにいる人に話しかけてもよいのか、その人が1人で集中しているのかが分かります。

オンライン公設塾は平日の午後7時半から9時半まで開設されています。他の時間帯にもアクセスはできますが、ふつうは誰もいません。学校が休みの日のがらんとした教室に1人入ってしまったイメージです。

公設塾が開く時間になると、チューター2人はすでにログインしてそこにいます。三々五々、利用者の生徒たちが入ってきます。チューターは、入ってきた生徒に近づいて(チューターのアバターがツツーーと寄ってくる)、必ず一対一で話しかけます。「今日はどう?無いか聞きたいことある?」みたいな感じで。挨拶ですね。

特になければ、「じゃあ、何かあったら呼んでね」、とまた離れて行きます。生徒は1人で勉強してもいいし、今日あった学校での話をチューターとしてもいい。1人で集中したいときは「サイレントルーム」があって、そこにいる限りは誰からも話かけられません。反対に、話しかけられてもいいときはふつうの部屋にいます。

チューターに質問があれば、チューターに近づいて直接聞くか、チャット機能を利用して問いかけることもできます。
「ここが分からない」ということがあれば、そこを写真に取ってオンラインで共有し、チューターがそれを見ながら教えてくれます。

そんな平日のある日、オンライン公設塾に入ってみました。
チューター2人、生徒数名が入室中でした。
サイレントルームにいる生徒が2人。勉強に集中しているのでしょうか。

「誰とも話さないなら、なぜオンラインにいるの?」と思うかもしれませんが、生徒に聞いたところ、「家だとダレてしまうので、勉強のスイッチを入れるためにはここに入る」のだそうです。

チューターがちょうどひまだったのか、私に寄ってきて話しかけてくれました。「はじめまして」です。マイクをオンにして雑談。ビデオのオンオフも選べます。そのときのチューターはちょうどドイツに留学中の大学生で、なんとドイツから生徒指導してくれてました。

話しているうちに、生徒からチャットで質問要請があり、チューターはそちらの対応へ。開いている時間内なら、いつ入っても、いつ出ても構いません。リアルな塾で、先生が待機している「自習室」と仕組みは変わりません。
「よくできているな〜」というのが第一印象。
自分が高校生のときにこういう環境があったらどうだったろう、と思いを馳せました。

次回は、このオンライン公設塾がどのように生まれたのかについて、関係者に話を聞いていきたいと思います。
お楽しみに!

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